自動車用プレス金型の設計士としてアメリカに駐在していた頃、取引先である世界各国の金型メーカーの1社にTDECがありました。歪み一つ無い製品を日程通りに出荷する、その徹底した姿勢は当時から強く印象に残っていました。代表取締役社長に就任した現在、TDECのものづくりの礎となっているものが何かを目の当たりにしています。熟練工の匠の技を持つ「人材」、高精度な機械が揃う「設備」、そして常に新しいことに挑戦する「社風」。この3つが揃うからこそ、複雑な複合解析を要する大型プレス部品の高精度な安定量産が実現するのだと実感しています。
電動化やIT化・カーシェアリングなど、多様化する車のニーズに伴い、ボディ構造も進化していきます。また海外を含めた金型メーカーの競争は激しく、コスト面ではアジア諸国が抜きん出ています。これまでと同じ金型を同じプロセスで製造するだけでは相対的には退化です。
こういった現状において、他社に無い強みを育てていく必要があります。それは、①ニーズをいち早く掴み、他社の先を行く金型仕様を考案する、②仕様構想から安定量産までの一連を、高精度なままより安く・より早く提供することです。製造プロセスを都度見直し、品質を確実に保証した上で今までにない工数削減を目指します。そして「最新のCAE解析を使いこなす技術」と「1/100ミリを調整する熟練工の技術」の両立により、最終的な寸法精度を素早く確定させます。自分の目や手で1/100ミリの違和感を掴む、機械にも計測できない歪みを捉えるのが当社の熟練工の為せる技。AIにも完全代替されることの無いであろうこの技術の継承を、当社は大切にしていきます。
どんなに素晴らしい車のデザインがあっても、シワ・キレツや精度不良を出さずに安定生産できる成形技術が無ければ製品として世に送り出すことはできません。だから私は金型の仕事に誇りを持っています。求められるレベルの高さに苦しんだとしても、諦めずにチャレンジし、達成できた喜びを仲間と共有できる環境を創りたい。「TDECの金型は素晴らしい」「また次も頼みたい」と言っていただける金型を1つでも多く作り、世界中のカーメーカーに信頼され、期待される技術者集団を目指します。